秘書と電話と

政治家の秘書とかしてました。

政治家の秘書になるには

 

自分の場合は国会議員の秘書とはいっても地元に張り付く地元秘書と呼ばれる役職でした。

国会議員の秘書には東京事務所と地方事務所の所属があり、それぞれの役割が違います。

 

1.政治とカネ

いわゆる皆様が考えている秘書の仕事とは内容が違うかもしれません。

政治家に寄り添って、仕事を円滑にする為に調整を行うという意味では同じですが

自分のBOSSと過ごすのは精々週に1〜2日。

 

ではその間何をしているかといえば、政治家の政治基盤たる地元での後援会活動と資金集めです。分かりやすくいえば金と人を集めています。

 

国政議員クラスの政治家になれば地方に事務員を2〜3人、地方秘書を4〜6人ほど持つのが通例でこれに東京事務所の人件費や事務所費等を入れれば、国会議員の歳費だけではとてもまかなえません。親族や強力な支援者がいれば別ですが、ほとんどの国会議員は常にお金にピリピリしています。

 

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一般の感覚で言えば2500万も歳費をもらって、悠々自適と思われることでしょうが

2500万なんてお金では事務所の運営すらできないのが実態です。

もちろん、事務員や秘書を減らし歳費だけで運営することもできますが、

その体制では選挙にはまず勝てません。

 

*1

 

政治家の歳費を減らそうと思うなら、こういった無駄な支出を減らす為にポスターは事前に選挙管理委員会に提出し選管で同日に全てのポスターを貼り出せば大きな無駄を省けるとは思いますしとても効率的ではない選挙制度の中で戦っているわけです。

 

話を戻しますが、地方秘書の大きな仕事は2つ。金と人です。

金とはつまり上記に挙げられるような運営費や人件費を賄う為です。

各種地場の企業を周り特に何かを売るわけでもなく寄付を募るわけですから

飛び込みの営業かつ、商品を持たずにお金だけせびるわけです。

想像するだけで嫌になりますね。

 

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当然冗談も交えて嫌味をたくさん言われますし、そんなことをいちいち気にしていたら

勤まりません。加えて所属している政党がやらかした後などは非常に最悪です。

自分の子どもよりも年下の秘書に対して、今までの政治的な責任を取るべき老齢の人々が政治に対する文句を投げかけてくる滑稽な場です。

 

政治家本人には言えないことも秘書にならと罵詈雑言を浴びせられることもあります。

もちろんその中で必要な情報はBOSSに報告しますが、大抵は飲み込みます。

そうやって寄付金を募ったり、政治資金パーティへの参加のパーティ券を一枚2万円で売りあるきます。加えて年に一回は政党の寄付金も募る為、一年に2〜3回は支援者や支援企業を巡り歩きます。世間に報じられているような口利き一つで何百万ももらえる案件があればつい飛び乗りたくなる気持ちが少しは伝わりますでしょうか?

ちなみにそんな案件は本当にごく一部の有力議員だけにしかなく、末端の大臣経験もないような議員にはほぼありません。

 

2.政治とヒト 

 

続いて人集めの話です。

選挙の時のポスター貼りや、人員集めは比較的理解を得やすく簡単です。

大変なのは選挙が遠い時期に各地域ごとに組織を作っていく作業です。

 

もちろん、組織とは言っても地域の名士の人に名前を借りて組織があるかのうように

名簿を作り、いざ選挙が始まった時には行動していただけるように備えることが

大切です。

 

しかし、その地域の名士というのが人格者ばかりとは限りません。

田舎の名士というのは土建屋さんや業界団体関係やが多く、

体育会系や独自の論理で動く人たちが多いです。

自分のいた地域では精密機械工業が盛んな地域だった為に、

各種会社を引退した重役の方や、某全国的農業団体の元会長や役員といった

人々に依頼をして名簿作りを進めたり、講演会があったら来てもらったり

やれ有名な政治家が街頭演説をするとなれば動員をお願いしたりしていました。

 

人気のある政治家がくればまだ簡単なのですが、不人気だけど知名度だけは

ある人がくると大変です。面子もあるので人がガラガラではBOSSのメンツが

潰れてしまいます。必死にお願いして興味のないような人まで来ていただかないと

とても間に合いません。動員も結構必死なのです。

 

他にも地方政治家の秘書の仕事は多岐に及びますが、大きく分ければこの二つです。加えてここにアポイント取得と口利き、地域行事への参加と挨拶の段取りを追加すれば9割網羅されています。

 

いかがでしょう?皆様の思っているものとギャップがあると思っていただければ幸いです。

 

 

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*1:共産党公明党のように独自の熱狂的な信者がいる政党は別ですが、立候補時のポスター貼り一つとっても百数箇所に同時に貼り付ける必要がありその為には後援会や秘書の組織的な活動が現代では必要となってきます。